本日は分かりやすくするために敢えていつもより少し極端な話しをさせていただきます。

また、補綴治療(被せものや入れ歯など)に関してのみの話しになります。

歯科医師自身が虫歯治療で被せものをする時、保険の銀歯を入れると思いますか？実は、ほぼ全ての若い歯科医師は自費の被せ物を入れると思います。

歯科医師自身が何らかの理由で歯を抜かざるを得なくなったとき、ブリッジや入れ歯を入れると思いますか？実は、ほぼ全ての若い歯科医師はインプラント治療を選択すると思います。

なぜでしょうか。

そこには２つ理由があります。

1. 日本の保険治療では最低限の治療しか受けられないから
2. 自費治療で得られる利益が自分のためだけではないから

１つ目は、保険治療では最低限の治療しか受けられないことがある、ということです。もちろん保険制度はどのような患者様でも治療を受けられる素晴らしい制度ですし、十分な治療が行える分野も数多くあります。

しかし、補綴治療においては、日本では自費補綴(セラミックの被せものやインプラント)は一般に”贅沢品”と思われがちです。しかし、本当はそうではないのです。

まず、被せものについて考えてみましょう。被せものの種類には、

1. 銀歯
2. プラスチック(樹脂)
3. 金歯
4. セラミック(ジルコニアなど)

などがありますが、保険治療で選択できるのは基本的には銀歯で、場合によってプラスチック(樹脂)が選択できるくらいです。そして、金歯やセラミックは自費になりますが、それは”贅沢”なのではなく、銀歯やプラスチックが”最低限”であることを知っておくべきです。当然、虫歯になった歯は削ってなにかを被せ機能させる必要があります。その際、最低限これだけやっておけば痛みは出ず大丈夫だろうという治療が「保険治療」なのです。公的な保険治療の存在しない先進国ではそのような概念は存在しません。悲しいことに、日本は先進国において最も銀歯を被せる国とも言われています。

 

一方、歯を失った場合を考えてみましょう。歯を失った場所を補うためには、

1. 入れ歯
2. ブリッジ
3. インプラント

の３種類がありますが、保険治療では入れ歯とブリッジしか選択できません。これもインプラントが”贅沢”と思われがちですが、実はそうではありません。入れ歯とブリッジが”最低限”の治療であるにすぎないのです。つまり、「セラミック」や「インプラント」は決して”贅沢”ではなく、むしろ、今後のためには”積極的に選択すべきもの”なんですね。

 

２つ目は、「それが自分のためだけではない」ということです。

どういうことかというと、セラミックの被せものであれば、保険治療の銀歯よりもう一度虫歯になるリスクが格段に低くなります。それは材料そのものの特性の違いや、使っている接着剤の種類の違いに起因します。材料そのものの特性としては「銀歯は温度変化により伸縮する」ことなどが挙げられます。伸縮により接着剤が溶け出したりして歯と被せものの隙間ができやすく、もう一度虫歯になりやすいのです。それに比べ「セラミックは表面に汚れがつきにくいうえ材料としても安定している」のです。ですからもう一度虫歯になったりするリスクは銀歯に比べ非常に低くなります。他にも理由は数多くありますが、他の記事にまとめようと思います。

では、歯を失った場合はどうでしょう。保険で選択できる入れ歯は「噛む力が自分の歯に比べ格段に弱く」なります。そして、ブリッジは「隣の歯を健康であっても削る」必要があります。対してインプラントは噛む力も十分で、何より周りの歯を削らないどころか守ることができます。

しかし、それらは自分にしか関係ないのではないかと思いますよね？

現代は「人生１００年時代」です。

自分がもし介護が必要な状態や寝たきりになった場合を考えてみましょう。保険の被せもので汚れが付きやすい状態だと介護してもらう家族が一生懸命汚れを落とさねばなりません。もう一度虫歯になれば歯科医院に連れて行く必要や、訪問診療に来てもらう必要があります。入れ歯であればつけ外しを行い洗浄してもらう必要もあります。

また要介護になる前でも噛む力が弱くなると認知機能や運動機能の低下が起こることも示唆されています。「よく噛める」ことは健康への第一歩です。

簡潔にするために少し極端に解説をしてきましたが、このように、自分のためだけではなく周りの家族のためにもなるのです。

 

ですから歯科医師自身は保険治療を選択することは少ないのです。

自費治療は”贅沢”と突き放すのではなく、ぜひ当たり前な治療プランの一つとしてしっかりと検討してください。

あとから後悔してしまわないように当院では必ず、自費治療についてもしっかりと説明をしています。

「そんなん高いから話しも聞かんでええ」と突き放すのではなく必要性だけでも当院に通院してくださる患者様には理解していただきたいと思います。そこからの選択は患者様それぞれによって状況も当然違いますので一緒に考えていけばいいと思います。

 

そのためにトリートメントコーディネーターや管理栄養士が在籍しておりますのでなんでもご相談ください。きっと皆様にとって最善のご提案ができると思います。

 

今回は自費治療を選択すべき２つの理由を説明させていただきました。最後まで読んでいただきありがとうございます。しっかりと自費治療を考えるきっかけになれば幸いです。